「この株、なんとなく良さそう」
株を買ったことのある人なら、誰でもこの感覚を知っています。チャートの形が良さそうだから、ニュースが出たから、誰かが良いと言ったから。そしてその「なんとなく」の結果がどうだったかも、実はみんな知っています。
クオンツ投資は、その反対側から始まります。感覚を外して、数字だけを残す投資です。
クオンツ投資を一文で
クオンツ(Quant)は Quantitative(計量的)の略です。仰々しく聞こえますが、一文にまとめるとこうなります。
あらかじめ決めたルール通りに売買し、そのルールが通用するかは過去のデータで検証する。
「良さそうだから買う」ではなく、たとえば「この条件を満たしたら買う、この条件が崩れたら売る」を先に決めます。そしてそのルールが本当に機能したのかを、過去数年分のデータで確かめてから、実際に使います。
なぜルールで投資するのか
第一に、人間の感情は投資ではほぼ常に不利に働きます。
下がれば怖くなって売り、上がればもっと上がる気がして買う。正確にその逆をすべき瞬間に、です。ルールはその瞬間に揺れません。条件が合えば買い、崩れれば売る。「怖いから」でルールは変わりません。
第二に、ルールは検証できます。
「なんとなく」は、当たったか外れたかを振り返れません。でもルールは過去のデータで走らせてみることができます — これをバックテストと呼びます。10年分のデータで何回売買し、何回勝ち、最悪の瞬間にどれだけ失ったかが、数字で出てきます。
検証できるということは、捨てられるということでもあります。通用しないルールは、お金を入れる前に捨てればいい。「なんとなく」は、お金を失ってからしか捨てられません。
第三に、繰り返せます。
一度の成功は運かもしれない。ルールは同じ条件で同じ行動を何百回も繰り返させ、そこで初めて「これは実力か、運か」を語れるようになります。
よくある誤解、二つ
誤解1 —「クオンツって数学の天才がやるものでは?」
機関投資家のクオンツはそうです。でも個人のクオンツはずっと素朴です。「20日移動平均線の上でだけ買う」のような単純な条件もルールで、それをデータで検証すれば、もうクオンツ的アプローチです。必要なのは微分方程式ではなく、勘をルールに書き換える習慣です。
誤解2 —「ルール通りにやれば儲かるの?」
いいえ。ここが、このブログで一番正直に言いたいところです。
ほとんどのルールは、検証してみるとエッジ(優位性)がありません。チャートでは説得力があるように見えたパターンが、データではコイン投げと変わらないことのほうがずっと多い。クオンツが約束するのは利益ではなく、「通用しない方法にお金を入れる前に、通用しないと知ること」です。それだけでも、口座はかなり守られます。
このブログで書くこと
QuantLogは、この視点で四つのことを書きます。
- クオンツ戦略 — 有名な戦略をルール単位で解剖します
- 指標と用語 — RSI、PER、シャープレシオといった言葉を一つずつ正確に
- データ実験室 — 実際のバックテストで「これ、本当に効くのか」を確認します。効かなければ、効かないと書きます
- 開発記 — 非開発者が自動売買システムを作りながら学んだこと
次回は、ここで最もよく登場する道具 — バックテストとは何か、そしてその落とし穴から。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。特定銘柄・商品の売買を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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